秘密の日常

宇良乃のウラの顔 ※閲覧注意

共に居た日

私は始終緊張していた。
もうこんなに脈拍が速くなることなんてないと思ってたけど、私の心臓もまた凄くうるさかった。

そのままその夜がずっと続いたらいいのにと思った。
そのせいであまり眠りにつくことができなかった。

この旅が終わりを迎えたら次はいつ会えるのか分からない。
彼の腕枕の中、私はネガティブなことばかり考えていた。

朝が来て一緒に食事をして、もう一度温泉に入ってチェックアウト。

その後は私の行きたかった場所へ連れていってくれて、名産品を食べたりした。

日が傾いてきた頃、私はとてつもなく寂しくなった。
そんなとき彼が連れていってくれた場所がとても綺麗で、その景色に息を飲んだ。

壮大な大自然の中二人きりで、風はちょっと冷たくて、悲しくなった。
"行こうか"と背中を向けた彼の腕を引っ張って抱き締めた。

沈黙の中冷たい風が通っていく。
泣きそうで言葉を選べなかった。
それに気づいたのか彼が口を開く。

"ここまで来てくれてありがとう
会えてほんとに良かった
また会おうね"

私はその"また"を全面的に信じたいのに、昔から彼に会うときは思っていた。
今日が最後かもしれないって。

"また、だよ"

私はそれだけ返して、暫くその体温を感じた。