秘密の日常

宇良乃のウラの顔 ※閲覧注意

私は自分が結婚したことを彼に報告していなかった。
先に言ったらもう二度と会えないと思ったから。
その日初めて報告すると彼は非常にショックを受けていた。
言わなければ良かったとも思ったけど、隠し続けることは無理だと判断した。

それから彼と久しぶりに直接たくさん話をすることができた。
ドライブがてら色々な所へ連れていってくれて、とても楽しかった。
どこへ行っても紳士的な対応の彼にドキドキした。

日が傾いてきた頃宿へと向かった。

これまでの間私と彼は触れ合うことはなかった。
私も、多分彼も、久しぶりの再会にかなり緊張していたと思う。

宿は古いけど綺麗で、いいところだった。
無類の温泉好きの私はそれも楽しみにしていた。

夕食には早い到着だったため、温泉に入ることにした。
温泉はお湯の質も良くて、冷えきった体もよく温まり幸せだった。

温泉から上がるとちょうど夕食の時間になり、乾杯。
二人でお酒を飲むのも本当に久しぶりで、色んな話を聞くのも楽しくて、明日には帰るんだと余計なことを考えて勝手にしんみりしていた。

夕食を食べ終えてから部屋に戻ってまた飲み直した。
始めは向かい合って座ってたけど何かくだらない理由をつけて彼の隣へ座った。

こんなときに限って全然お酒が効かない。
全く酔ってこない。
それでも隣にいる彼に触れたかった。

私はそっと彼の肩にもたれる。
頭を乗せているのは肩なのに、彼の心音が鮮明にバクバクと聞こえた。

彼の手が私の髪を撫で、顔の輪郭をなぞる。
次の瞬間、彼に唇を塞がれた。